脱炭素、コスト低減、BCPなど、企業が抱えるさまざまな問題の解決に貢献する「自家消費型太陽光発電」とは?
近年、多くの企業が脱炭素化が思うように進まない、電気料金の高騰に対応が出来ておらず、コスト上昇に有効な手立てを講じられていない、災害時の事業継続(BCP対策)が実効性のある十分なものとなっていないなど、さまざまな問題を抱えています。こうした問題を一挙に解決できる方法として注目されているのが「自家消費型太陽光発電」です。
そこで今回は、自家消費型太陽光発電の導入がどのような形で問題解決に繋がるのかを詳しく解説します。
自家消費型太陽光発電とは?
まずは自家消費型太陽光発電とはどういうものなのかを知らなければなりません。
自家消費型太陽光発電とは、企業が自社の敷地や施設の屋根などに太陽光パネルを設置し、発電した電気を売電せず、直接施設内で利用する仕組みのことです。発電から消費までが施設内で完結するため、送電ロスが少なく効率的であることが特徴です。
自家消費型太陽光発電が企業が抱えるさまざまな問題の解決につながる理由とは?
自家消費型太陽光発電の導入により解決する問題の解決理由を以下にまとめます。
問題① 脱炭素・CO₂削減が進んでいない
自家消費型太陽光発電導入による解決理由
太陽光は再生可能エネルギーであり、発電時に二酸化炭素(CO₂)を排出しません。そのため、自家消費型太陽光システムを導入すれば、企業の脱炭素化目標やSDGsの達成に役立ちます。また、自社の敷地内や建屋の屋上などに太陽光パネルを設置するため、山を切り崩して設置する太陽光発電とは異なり、環境へ与える悪影響も少ないことも自家消費型太陽光システムの特徴です。ESG経営が重視される現在、環境配慮への積極的な姿勢は企業イメージの向上にもつながります。
問題② 電気料金の高騰に伴うコスト上昇に対応出来ていない
自家消費型太陽光発電導入による解決理由
自家消費型太陽光発電では、自ら発電した電力をそのまま使用するため、電力会社から購入する電力量を減らし、電気料金を大幅に削減できます。また、蓄電システムを併せて導入することで電力使用量のピークを抑えて基本料金を下げたり、夜間の安い電力を蓄電して日中に使用するなどすれば、さらなる電気料金の削減が見込めます。近年はエネルギー価格が高騰しており、電気料金の上昇リスクを低減することは企業の経営安定化に非常に有効です。
さらに、自社で発電した電力は、電力会社から購入する際にかかる「再エネ賦課金」が発生しません。
再エネ賦課金とは、国が定めた単価に、毎月の電気使用量をかけて請求されるものなので、電力会社から購入する電力使用量を減らせれば、その分、再エネ賦課金の負担は軽減します。
再エネ賦課金は年々上昇傾向にあるため、これを負担しなくて済むことも、コスト上昇対策として自家消費型太陽光発電の大きなメリットと言えます。
問題③ 災害時等のBCP対策が実効性のある十分なものとなっていない
自家消費型太陽光発電導入による解決理由
災害等により周辺地域で停電が発生しても、自家消費型太陽光発電システムに損傷がなければ、発電された電気を使用出来ます。
そして、蓄電池を併設することで、災害や停電など非常時にも安定した電力供給が可能となり、事業継続の確立が高まります。
自然災害が頻発する日本では、災害による経営へのダメージを最小限にするために、事業継続計画(BCP)を実効性のある十分なものへと強化することは非常に重要で、自家消費型太陽光発電は有効な対策となります。
自家消費型太陽光発電のデメリットとは?
もちろん、自家消費型太陽光発電にもデメリットがあります。
デメリット① 初期費用が高い
近年、太陽光パネル等の価格が下がってきたとはいえ、導入にはそれなりの投資が必要となります。
ほとんどが1,000万円を超える投資となるため、投資回収期間が長くなり、耐用年数を考えた時にあまりメリットを享受出来ないことも。
しかしながら、国や自治体が出している「補助金や助成金」を活用すれば、初期投資を抑えることができ、投資回収期間を短縮することが出来ます。(平均5~8年程度に短縮可能)
現在、2030年までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標達成に向け、その有効手段である自家消費型太陽光設置にはさまざまな補助金が出ています。自社の計画に合った補助金(助成金)を活用することが出来れば、デメリットでは無くなります。
その他にも税制優遇制度などを活用すれば、税負担軽減による間接的なコスト軽減につながります。
デメリット② パネル等の設備を設置可能なスペースと耐荷重が必要
設置出来る面積が小さいと十分な発電量の確保が出来ないため、メリットが出せない場合があります。
また、設置出来る面積が十分あったとしても、建物の耐荷重が不十分だと設置が出来ません。
パネル等の設備を設置可能なスペースと耐荷重が必要条件となるので、どの事業者様でも導入出来る訳ではありません。
デメリット③ シミュレーション通りの発電量が得られないこともある
梅雨時期や冬などの日照時間の減少をシミュレーション条件に加味していたとしても、自然エネルギーなので、地域や年によっては、それ以外の時期にシミュレーションどおりの十分な日照が得られない場合もあります。
災害による損傷、設備の故障・盗難、メンテナンス不足による発電ロスなどもあり、それらもある程度想定した計画策定が必要です。
デメリット④ 業者の能力差によってメリットを最大化できないことがある
依頼先業者の能力差によって、設計や施工が変わってきます。自家消費型太陽光発電導入のメリットを最大化するためには、信頼出来る業者を選ぶことも大切です。
電気主任技術者の有無、事業実績年数、施工実績などを参考に検討することをおすすめします。
デメリットには、大きな手間をかけずとも克服出来るものもありますので、まずは専門業者を選定して、相談することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか。企業経営を取り巻く環境が大きく変化する中、自家消費型太陽光発電の導入を検討する企業はますます増加しています。補助金や税制優遇制度なども活用しつつ、企業として積極的に取り組むことを検討してみてはいかがでしょうか。
次回は自家消費型太陽光発電導入で活用出来る、東京都の補助金(助成金)について詳しく解説しようと思います。